第77回定期演奏会に向けて
第77回定期演奏会に向けて、指揮者のステファン・ドゥネーヴ氏と本公演の首席バソン奏者であるテオ・サラザン氏にメッセージを頂戴いたしました。
親友であるクリーブランド管弦楽団首席テューバ奏者の杉山康人氏から、愛知県には素晴らしい室内オーケストラがあると聞いていました。今回、その愛知室内オーケストラ(ACO)を指揮する機会をいただき、とても嬉しく思っております。私は日本が大好きで何度か訪れておりますが、まだ名古屋には行ったことがありません。今回の演奏会で初めて訪れることが出来るため、今から楽しみでなりません。演奏会では私の母国フランスの作曲家であるルーセル、シャブリエ、イベール、プーランクのプログラムを披露させていただきます。フランスの作曲家に共通しているのは色彩豊かなハーモニーと個性的なメロディーです。私はACOとともに、この稀有なレパートリーに対して、フランス的な明瞭さ、透明感、正確さ、優雅さ、ユーモアを促し、特にルーセルの『蜘蛛の饗宴』に描かれた昆虫の独特な世界や、イベールの交響組曲にインスピレーションを与えた首都パリの訪問など、想像力豊かな雰囲気で皆様を楽しませたいと思っております。今回の演奏会は、私の祖国フランスへの素敵な音楽的ボヤージュ(旅行)となるでしょう。皆様とお会いできる日を楽しみにしております。
ステファン・ドゥネーヴ
♪今回のプログラムの聞きどころ
シャブリエの「田園組曲」は非常に叙情的な曲であり、フルートで歌われる美しいパッセージや、クラリネットで歌われる民衆的なメロディー、ファゴットで歌われる素敵な対旋律などがあります。ルーセルの「蜘蛛の饗宴」はバレエ音楽でもあり、クモの餌になる虫たちのダンスに誘われます。そしてイベールの交響組曲「パリ」は、フランスの首都パリ、その地下鉄、郊外、公園、賑やかな生活への片道旅行であり、様々な楽章があります。プーランクの「シンフォニエッタ」がこのプログラムのハイライトでしょう。新古典主義的なスタイルとハイドンへの繊細なオマージュがあり、私が特に好きな曲です。プーランクの天才的な才能を反映し、フランス音楽のベンチマークとなる作品です。
♪バソンの魅力について&オーケストラの中で他の楽器に与える影響、面白さなど
バソンは、音色の豊かさにおいては他に及ぶ楽器はありません。多彩な音色とアーティキュレーションの高い質が保たれた楽器であり、聴く人の心を優雅にとらえることができます。
一方でファゴットは優れた楽器の反応性により全体的に生き生きとした演奏ができ、音色、色彩、雰囲気、ひいては感情の多様性を実現させることを可能としています。
♪お客様へのメッセージ
自分にとって馴染みのあるレパートリーで、木管楽器の魅力をより知ってもらえる今回のコンサートに参加できることを嬉しく思います。豊かな音色とフランス音楽の抒情的な趣を楽しんでいただければと思います。是非このコンサートをお楽しみください!
テオ・サラザン