【森谷真理・鳥木弥生インタビュー】3/29(土)第85回定期演奏会にむけて
ACOのオペラ・コンチェルタンテ、モーツァルト:《コジ・ファン・トゥッテ》。キャストには日本のオペラ界のトップ歌手たちが出演する。主人公の姉妹を演ずる森谷真理(写真左)と鳥木弥生(写真右)に抱負を語ってもらった。
森谷「ACOとは演奏会を2回ご一緒しています。団員の皆さんと山下マエストロの絆が深く、私のことも温かく迎えて頂き、歌にとても興味を持ってくださったのが印象的でした。今回はACOさんの十八番でもあるモーツァルトをご一緒できるのが楽しみです」
鳥木「私はACOさんの演奏会に出演するのは初めて。マエストロとはごく若い頃から共演しており、私が初めて歌ったベートーヴェン第九も山下さんの指揮でした。オペラもご一緒しています。今回は「ようやくACOに来てもらえるね」、と言っていただきました。室内オーケストラとのモーツァルトは一体感を持てて素晴らしいと思うので、とても楽しみにしています」
《コジ・ファン・トゥッテ》はナポリを舞台に、姉妹の婚約者たちが彼女らの貞操を試すというストーリーだ。男女の揺れ動く心を、美しいシンメトリーで描く音楽が見事な作品である。
森谷「今回は演奏会形式ということで歌に集中できます。《コジ》はアンサンブル・オペラ。特にアンサンブルを耳で聴いて頂けるというのは、私はとても幸せなことだと思っています」
鳥木「私も昔から演奏会形式が大好きです。《コジ》は、全体の一貫したドラマというよりは、面白い瞬間の積み重ねでできているオペラだと思っています」
森谷「その面白い一瞬一瞬にモーツァルトがどのように作曲したかに、彼の天才が現れていると思います。アリアも美しいけれど重唱が特に素晴らしいです。私は実はモーツァルトのダ・ポンテ台本のオペラの中では《コジ・ファン・トゥッテ》が一番好きですね。《コジ》は、6人の登場人物の誰もが同じくらい重要です」
鳥木「私はやはりメゾソプラノだから、皆が同じといいながらも、フィオルディリージがプリマ・ドンナという思いはどこかにあります。ドラベッラは彼女との対比として存在する“普通の人”。ちなみに私は普通の人を演じるのが大得意で、よく褒められます(笑)」
森谷「フィオルディリージは責任感が強く、浮気をせずに、貞操をも守りたいという意志を強く持っています。歌はとても技巧的で、音域も広いです」
姉妹役を歌う二人は、これまで“ゲキジョウシマイ”というユニット名でコンサートを開催してきた。
森谷「2020年初頭頃に結成したんです。鳥木さんとは一緒にいると居心地が良くてテンポ感も合う。二重唱をやりたいね、と。メゾとソプラノの二重唱のコンサートは少ないですし」
鳥木「まずフランス語のレパートリーを、ということでも意見が一致しました」
森谷「ユニット名は、姉妹でやっている人いるよね?ということから、“ゲキジョウシマイ”という名前になりました。コロナ禍では時間があり、企画をより練り込めました。」
鳥木「ちなみに“ゲキジョウシマイ”では私が姉。《コジ・ファン・トゥッテ》も私たちが演じるならドラベッラが姉だと思っています」
二人はオペラ初共演。相性抜群の彼女たちだからこその舞台になりそうだ。
森谷「私たちの仕事はリハーサルが重要です。一緒に声を出し合うと、共演者への理解が深まるし、その瞬間もまた素晴らしいんです」
他の出演者については森谷、鳥木それぞれ既に共演している歌手もいるが、《コジ・ファン・トゥッテ》で“一緒にハーモニーを作る”のが楽しみだという。ACOとオペラ界のトップ・スターたちの共演。最高の演奏を聴く機会になりそうだ。
音楽ライター 井内美香
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ACO-第85回定期演奏会
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一般席¥8,000 ペア席¥12,800 U25券¥1,000 小中学生券¥500